家庭とAI 手順とテンプレ
家庭のAIルールの作り方
BRIEF この記事が扱うこと
家庭でのAIの扱いに、公的な資料が定めた正解はありません。この記事では立場を3つ並べ、どれを選んだ場合にも同じ手順で決められる形にします。決めた内容を書き込むひな形を配布します。
| 記事の型 | 手順とテンプレ |
|---|---|
| 配布素材 | わが家のAIのつかいかた(記入用ひな形) |
| 参照した資料 | 1件(記事末に一覧) |
家庭でAIの扱いを決めるとき、最初に困るのはどこまで決めればよいかが分からないことです。全面的に禁止するのも、何も決めないのも落ち着かない、という状態です。
この記事では立場を3つ並べます。どれを選んでも同じ4ステップで決められる形にしてあり、記入用のひな形を最後に配布します。
家庭でのAIの扱いを定めた公的な資料は見当たりません。以下の3つの立場は並列に置いており、推奨する立場はありません。学校からの案内や先生の指示がある場合は、そちらが優先します。
3つの立場を並べる
家庭で取りうる立場は、大きく3つに分けられます。それぞれ、決めることの量と、後で起きる話し合いの中身が変わります。
| 立場 | この立場で決めること | 見直しのきっかけになりやすい場面 |
|---|---|---|
| A. 当面は使わない | 使う場面を今は設けない。「必要になった」と誰がどう判断するかだけ決めておく | 学校の課題で、AIの利用を前提とした指示が出たとき |
| B. 条件を決めて使う | 使ってよい場面・相談してから使う場面・使わない場面の3つに分ける。判断に迷ったときの相談相手も決める | 一覧に無い場面が出てきたとき |
| C. 積極的に使う | 使う前提で、記録する項目と、提出前に確認する担当を決める | 提出物の扱いについて、学校の指示が変わったとき |
3つのどれを選んでも、次の4ステップで決められます。立場が変わっても手順は同じです。
手順1: 使う場面を書き出す
「AIを使ってよいか」を一度に決めず、場面ごとに分けます。分けるための一覧を先に作ります。
- 調べ物の入口
- 宿題や課題の下書き
- 感想文・創作(詩・絵など)
- 提出物の見直しや言い換え
- 定期考査や小テストの勉強
- 相談ごと・悩みの話し相手
この一覧に、家庭で実際に出てきた場面を足していきます。一覧に無い場面が出たら追記するという運用にすると、初回に完璧を目指さずに始められます。
参考になるのは、文部科学省のガイドライン Ver.2.0(令和6年12月26日)p.18のBox-5です。学習場面で利活用が考えられる例と、不適切と考えられる例が並記されています。学校に向けた記述ですが、場面ごとに分けて書く形そのものが、家庭の一覧を作るときの下敷きになります。
手順2: 入力しないものを決める
場面より先に決めやすいのが、入力しない情報です。場面の判断と違い、状況によって揺れません。
- 自分の名前・友人の名前
- 顔写真・制服が写った写真
- 学校名・クラス・部活名
- 住所・電話番号・メールアドレス
- 家族の勤め先・家庭の事情
- 他人から見せてもらった文章や作品
同ガイドライン p.19には、児童生徒が利活用する場合、プロンプトに氏名や写真等の個人情報を入力させないよう留意する旨が書かれています。これは学校での指導について書かれたものですが、入力しないものを先に決めておく考え方は家庭でも使えます。
手順3: 提出物の扱いを決める
ここは家庭だけでは決められません。学校や課題ごとにきまりが違うためです。順序としては、学校の指示を確認してから家庭の運用を決めます。
| 確認する順 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 学校・先生からAIの利用について指示が出ているかを確認する |
| 2 | 指示がある場合、その範囲内で家庭の運用を決める |
| 3 | 指示が見当たらない場合、迷う課題については先生に聞いてから使う、と決めておく |
| 4 | AIを使ったときに何を控えるか(AIの名称・入力した指示・日付)を決める |
同ガイドライン p.18には、不適切と考えられる例が挙げられています。コンクールの作品やレポート・小論文等について、生成AIの生成物をほぼそのまま自己の成果物として応募・提出することです。
p.20には、記録についての記述があります。生成AIを用いた際に、ツールの名称・入力したプロンプトや出力・日付等を明記させることが考えられる、というものです。
手順4: 見直す日を決める
決めた日と、次に見直す日を同じ紙に書きます。見直しの日には3つだけ話します。項目を増やすと続きにくくなります。
- 決めたとおりに動いたところと、動かなかったところ
- 決めたときには無かった使い方が出てきたか
- 次の期間で変えること(1つだけ)
期間の目安を示した公的な資料は見当たりません。ひな形では、日付を書く欄だけを用意し、期間そのものは各家庭で決める形にしています。
「禁止か許可か」で固めない書き方
参考として、原典が教育委員会について書いている箇所を挙げます。これは家庭についての記述ではありません。
生成AIの実践を積み重ねているかどうかは学校や教職員によって大きな差があるため、域内の各学校の実態を十分に踏まえた柔軟な対応を講じることが必要であり、一律に禁止したり、義務付けたりするような硬直的な運用は望ましくない。
この記述は、教育委員会が域内の学校に対して行う運用について書かれたものです。家庭にそのまま当てはめられるものではありません。ここで挙げたのは、実態に合わせて決め直せる形にしておくという考え方が公的な資料にも書かれている、という参考としてです。
お金と契約のことも1行入れておく
見落としやすいのが、料金と規約です。同ガイドライン p.28には、外部サービスの利用に起因するリスクとして、無償のサービスが有料になる価格の変動、サービス停止等の提供条件の変動、利用規約が頻繁に変更されることが挙げられています。
ひな形では、次の4つを書く欄を置いています。
- 使うサービス名
- 無料の範囲だけで使うか、有料にするか
- 課金するときに事前に相談するか
- 年齢制限と保護者の同意について、利用規約を確認したか
同ガイドライン p.10には、年齢制限や保護者の同意の必要性、生成物のライセンスの所在など、提供者が定める最新の利用規約を確認し遵守する必要があると書かれています。確認した日付を控えておくと、次の見直しのときに差分が見えます。
配布素材: 記入用ひな形
上の4つの手順と、料金・規約の欄をそのまま書き込める様式です。立場A・B・Cのどれを選んでも使えます。
わが家のAIのつかいかた(記入用ひな形)
katei-ai-rule-template.mdMarkdownA4想定・6項目
印刷して手書きで埋める形を想定しています。選択肢は、選ばなかった側を消して使ってください。
よくある質問
家庭のルールに、決まった正解はありますか。
公的な資料の中に、家庭でのルールの作り方を定めたものは見当たりません。文部科学省のガイドライン Ver.2.0 も学校教育関係者に向けた資料で、家庭の運用手順は扱っていません。この記事は選択肢と決め方の手順を示すもので、どれが正しいかを示すものではありません。
高校生の年齢でも、保護者の同意が要りますか。
サービスごとに異なります。同ガイドライン p.10 には、年齢制限や保護者の同意の必要性など、提供者が定める最新の利用規約を確認し遵守する必要があると書かれています。使っているサービスの規約を確認してください。
決めたルールは、どのくらいで見直せばよいですか。
期間の目安を示した公的な資料は見当たりません。ひな形には、決めた日と次に見直す日を書く欄を置いています。期間そのものは各家庭で決める形にしています。
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LIMITS この手順で解けないこと
- どの立場を選ぶべきかは示しません。3つを並べるところまでで、推奨する立場は置いていません。
- 学校からの案内や先生の指示がある場合は、そちらが優先します。学校の方針と食い違ったときの扱いは、この手順では決められません。
- 使っているサービスの年齢制限や保護者の同意が要るかは、提供者が定める最新の利用規約を確認してください。
できることだけを並べても判断は早くなりません。扱えない範囲を先に出しています。
参照した資料
資料 文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0」 (令和6年12月26日・p.10、p.19、p.20、p.21 を参照)